少し前の記事で、以前私の英会話教室の生徒さんだった学生さんから教室で仕事をしたいという連絡を受けた、という話をしました。

「じゃあ、まずは一ヶ月やってみる? その間に自分でできるかどうか見てもらいたい。そして我々としてもあなたができるかどうかを見させてもらうので、8月の最後の仕事の日に9月以降どうするか一緒に考えよう」
面接に来た元生徒さんにそのように伝え、そして昨日はどのように教えているかを見に来てもらいました(もちろん拘束している分はお給料として出します)。
様子を見ていると、まだ学生なのでどこかで働くというのは初めての経験のようです。
そこで、雇う側としての最初の仕事は、仕事に対する考え方について教えることだなと思いました。
その中のひとつが、私自身が学生時代に知りたかったことだったので、ここで【中学生の自分に伝えたいことシリーズ5】としてお伝えしたいと思います。

Contents
学校の授業をひとつの視点でしか見ないなんてもったいない!
当教室の基本テーマは「生徒さんに英語を話せるようになってもらうこと」。
だから、英語を話せる人しか雇いません。英語を話せない人に英語を教わっても話せるようにならないからです。それはなぜかというと、英語は話せば話すほど話せるようになります。でも、日本(特に宮城県塩竈市という田舎)ではその機会がないのが問題です。
だから、当教室のでは「生徒に英語を話す機会を提供する」ことを一番大事にしています。
もちろん英語を話せるようになるには文法、単語力、そして発音に対する知識が必要です。でもそれはすでにいる私たちが教えられるので、新たに雇ってまでやってもらうことではありません。
つまり、学生スタッフと言え、期待している仕事は生徒さんと英語で話すこと。
これが仕事なのです。
自分で英語を話せるようになることと、英語を話せるようになる為に指導することは似て異なる
この生徒さんが学生でありながら仕事をしたいと言って来てくれたことに関して、私はとてもラッキーだなと思っています。私というよりも、学生さん自身が・・・。
なぜかというと、学生という立場上、「生徒に英語を教える」ということを複数の人から学ぶことができるからです。
例えば、彼女が通う学校では英語という教科には4種類あり、外国人講師による英語によるコミュニケーション、外国人講師と日本人のペアティーチングによるアクティビティ、そして文法の授業、もう一つは忘れましたが、様々な英語に関すること異なった授業があります。
私が昨日お話したのは、「仕事に活かす」という観点から授業を見てみると良いよ」ということ。
今までは「学生」としての受け身の立場でしか授業を受けられなかったのに、仕事をするようになることで、「教える(先生としての)立場」から授業を受けられるようになります。
あくまでも「学生」として授業を受けるのと、「良い教え方があったら盗んでやろう」と思いながら授業を受けるのとでは天と地ほどの差があるのです。

なぜなら、「良い教え方をしていたらそれを自分の仕事に活かそう」と思うことで授業の受け方が変わり、例えば教科書にあるこのページのこの文法を教えるのに、どうして先生はこのような言い方をして、このようなプリントを作り、アクティビティをさせるのか?
どういうタイミングでどういう声がけをしているのか? 先生が生徒に何かをさせたいと思っている時、なぜそれをさせたいのか? その目的は何か? それを通して何を学んでほしいと思っているか?
そういった普通に授業を受けることでは及ばない考え方ができるようになるのです。
「仕事で教える立場になる」ことで視点が増えることで、同じ授業を受けても全く異なる受け止め方ができるようになる。
学校の授業を通して生徒が得られるものを表す公式
普段のレッスンを通して私が感じていたのは、一人の先生が同じものを同じように教えてもその理解度に大きな差があるということでした。
昨日息子の学校の先生の家庭訪問があったので、そのことをその先生とも話したのですが、やはり先生も同じように感じていらっしゃったようです。
ではその公式とは何かというと、
生徒が得られるモノ = 先生の教える力 x 生徒の学ぶ力
です。
こう考えると、学校で同じ授業を受けているのに、ある人にとっては授業だけでテストで点数が取れるのに、他のある人にとっては全く点数が取れないという現象に説明がつきます。
多くの場合、これは授業を受ける「態度」や「集中力」だと説明されます。
「もっと授業を集中して聞けよ!」みたいな感じです。
でも、そうじゃないのではないかと私は思うのです。
もちろん、同じ教科を教えていても「先生の教える力」が異なれば、それだけ「生徒が得られるモノ」も変わります。教える力が低ければ、いくら集中して聞いても得られるモノは少ないでしょう。
ただそれはどうしようもない(学校の先生は変えられない)ので、変えられるものを変えるしかありません。
それは「生徒の学ぶ力」です。でも、私がここで言いたいのは「もっと集中しろ!」ということではありません。
では何を言いたいのかというと、授業を受ける際の「視点を増やそう」ということです。
同じ時間を過ごしながらもそこからより多くモノを得られるようになる方法
つまり、「生徒」としての受け身の立場ではなく、先生としての視点から授業を受けてみたり、自分がどう感じるかも感じつつ、その時の授業を受けているクラスの雰囲気などを見渡して先生がどう感じているか、そういったことを見られるようになろうということです。
すると、例えば「生徒たちの反応が悪いな」と思った時に、先生がそれをどういう風に変えていくか、そのようにしようとしているかが手に取るようにわかるようになります。
また、先生が理解してほしいポイント、強調しているポイントも見抜けるようになりますし、プリントを見ただけで今教科書で学んでいる重要な個所・ポイント・覚えてほしいと思っているところが分かるようになります。
授業時間が50分だとしたら、その同じ時間を個人の生徒としての視点で見ると点にしかすぎません。しかしそれを先生の視点として見られれば点が線になり、さらに教室全体まで視点を拡大させられればそれは面となります。
そこに「授業の流れ」という視点を入れると3D空間になるのです(ほとんどの先生は授業の流れをしっかり考えて、どういう順番で何を教えるか考えたうえで授業をしています)。
これ、中学生の時に知っておきたかったこと!!
なんで誰も大人は教えてくれなかったんだと今でも思います。
だからこそ、今ここで読者であるあなたには教えたいと思います。またはもし大人が読んでいたら、ぜひ子供に読ませてください。それくらいこの内容は重要です。
・・・ただ、もちろん何を言っているか分からないかもしれません。
「仕事をする」という前提があれば理解できるかもしれませんが、それがないと理解するのは難しいかもしれません。でもそれだけに大切なのです。
だからこそ、「仕事をしたい!」と言って来てくれたこの元生徒さんにはしっかり理解できるように伝えていきたいと思います。
雇い主と言うより、メンターみたいだと私は思っています。
でも、それはそれでよいのです。なぜなら、そういう「3D視点」が持てる若者を育てるのが英会話教室の後で私がしたいことなのですから・・・。
【中学生の自分に伝えたいことシリーズ】の前回の記事はこちら。

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